フリーランスエンジニア手取り

フリーランスエンジニアの手取りはどれくらい?計算方法と年収別目安

フリーランスエンジニア手取り
  • フリーランスエンジニアの手取りはどれくらいだろう?
  • どれくらい税金で持っていかれるのか事前に知っておきたいな。

フリーランスと会社員の大きな違いの一つである、収入と手取りの成り立ち。
会社員であれば、毎月給料日に口座へ入っている額が手取りの基本となります。

しかし、フリーランスの場合はクライアントなどから頂いた収入から、税金などを差し引いた額が手取りです。
そのため、どのくらいの手取りになるのか気になる方も多いかと思います。

フィクト
というわけでこんにちは。
本記事はフリーランス歴約10年のフィクトが解説をしていきます。
フリコンはWebディレクターとしてお手伝いさせていただいています。

フリーランスとしてうまく生活していく上で、収支の管理は非常に重要です。
収支の管理をしっかりできないのであれば、生活が困難になる可能性があると言っても良いほどです。

収入別の目安も含め、フリーランスの手取りについて詳しく解説をしていくので、是非参考にしてみてください。

※主にフリーランスエンジニア向けに解説をしますが、フリーランス全般に言える話がほとんどです。

フリーランスエンジニアの手取りの決まり方

まずは、フリーランスエンジニアの手取りの決まり方から見ていきましょう。
分かりやすいように、会社員と対比して流れをお見せすると以下の通りです。

  1. 給料が決まる
  2. 社会保険や厚生年金・経費などの額が差し引かれる
  3. 口座に入ってくる(手取り)
  1. クライアントからの報酬が収入となる
  2. 収入が口座に振り込まれる
  3. 国民健康保険料や税金・経費などを支払う
  4. 残った金額が手取りとなる

フリーランスの場合、収入から税金などを自分で支払う必要があります。
具体的には、以下のような金額を支払うこととなります。

  • 国民健康保険料
  • 国民年金保険料
  • 住民税
  • 所得税
  • 個人事業税
  • 消費税
  • その他生命保険など

要するに、上記の額が大きくなればなるほど手取りが減るわけです。

それでは、それぞれどのくらいの金額を支払うことになるでしょうか?
次に各出費に関して解説をしつつ、どのくらいの金額になるかの目安を紹介していきます。

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フリーランスエンジニアの収入から引かれる税金や保険など出費の種類

フリーランスエンジニアの収入から差し引かれる出費について、見ていきましょう。

国民健康保険料

会社員からフリーランスになると、会社で入っていた社会保険や厚生年金から抜ける必要があります。
そのため、支払う出費が以下のように変更となります。

  • 社会保険料→国民健康保険料
  • 厚生年金保険料→国民年金保険料

フリーランスになる際に、お住まいの市区役所・町村役場で手続きを行い、口座振替ができるようにします。

>>国民健康保険に加入する|フリーランスになるときにやること!必要な準備15個を徹底解説

国民健康保険の料金は、前年度の所得によって決まります。
具体的にどのくらいの額になるかは、各市区町村のホームページに目安や試算方法が書かれている場合があります。

参考までに、渋谷区は以下のページを見ると良いです。

>>保険料試算 | 渋谷区公式サイト

国民年金保険料

上記で少し触れていますが、国民健康保険料同様に国民年金保険料を支払う必要があります。
国民年金保険料は全ての方一律で、年度によって変わります。

各年度の国民年金保険料の金額は日本年金機構のホームページを確認しましょう。

>>国民年金の保険料はいくらですか。|日本年金機構

参考までに、直近5年間の国民年金保険料は以下の通りです。

年度月額料金
令和4年度(令和4年4月~令和5年3月)16,590円
令和3年度(令和3年4月~令和4年3月)16,610円
令和2年度(令和2年4月~令和3年3月)16,540円
令和元年度(平成31年4月~令和2年3月)16,410円
平成30年度(平成30年4月~平成31年3月)16,340円

住民税

住民税は地方税の一種で、以下の税金の総称です。

  • 都道府県民税
  • 市区町村民税

それぞれの税金は、以下のような計算により決まります。

  • (所得 – 所得控除額) × 道府県民税率/都民税率 – 調整控除 – 税額控除 – 配当税額・株式等譲渡所得割額 + 道府県民税均等割額/都民税均等割額
  • (所得 – 所得控除額) × 市区町村民税率/特別区民税率 – 調整控除 – 税額控除 – 配当税額・株式等譲渡所得割額 + 市区町村民税均等割額/特別区民税均等割額

少し分かりづらいかと思うので、各項目の概要を解説すると以下の表の通りです。

項目説明
所得前年の1/1~12/31までの収入から必要経費を差し引いた金額。
所得控除額雑損、医療費、社会保険料、小規模企業共済等掛金、一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料、地震保険などの控除。
道府県民税率/都民税率各都道府県が課す税金。
2014年~2023年は一律4%となっている。
市区町村民税率前年の所得に対して課せられる地方税。
税率は一律で6%。
調整控除所得税と個人住民税の人的控除に差がありすぎることにより、税負担が増えないように調整するため控除するもの。
税額控除配当、住宅借入金等特別税額、寄附金税額、外国税額などの税額控除。
配当割額・株式等譲渡所得割額の控除配当割額・株式等譲渡所得割額控除額を申告した場合には、その金額を差し引く。
道府県民税均等割額/都民税均等割額全国一律で2014年~2023年は3,500円。
市区町村民税均等割額/特別区民税均等割額全国一律で2014年~2023年は1,500円。

所得税

所得税はその名の通り、所得に対して課せられる税金です。
税額は所得によって変わり、国税庁のホームページにもある通り、以下の税額となっています。

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
6,950,000円 から 8,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

引用元:国税庁

注意点として、課税対象は経費などを差し引いた後の所得金額という点です。
例えば、所得金額が500万円の場合は以下のような計算となります。

5,000,000円 × 0.2 – 427,500 = 572,500円

個人事業税

個人事業税は、地方税法等で定められた事業に対してかかる税金です。
どの事業が対象になるかは、主税局のホームページに税率と共に書かれています。

>>個人事業税 | 税金の種類 | 東京都主税局

上記をご覧いただければわかる通り、エンジニアは含まれていません。
細かい業務内容によりますが、基本的にエンジニアは個人事業税の対象外です。

しかし、Webサイト制作などはデザインも含み個人事業の対象となる場合もあるので、しっかりと確認が必要です。

消費税

消費税は、馴染み深い税金かと思います。
普段は消費税を支払う側となるのが一般的です。

ですが、事業者であるフリーランスは消費税を受け取り、税務署に納付する必要があります。
計算方法は以下のいずれかで行います。

  • 原則課税方式:(課税売上高×10%)-(課税仕入高×10%)
  • 簡易課税方式:(課税売上高×10%)-(課税売上高×10%×みなし仕入率)

しかし、開業1年目や基準期間の課税売上が1,000万円を超えていない場合は、免税事業者となるので消費税を納付する必要はありません。

その他生命保険など

ここまでは、フリーランス全般にかかるものでした。
最後は上記でも少し触れた、以下のような料金の支払いです。

  • 小規模企業共済等掛金
  • 一般生命保険
  • 介護医療保険
  • 地震保険

所得控除の対象となるものの、基本的な料金の支払いは収入から支払うこととなります。


手取りの決まり方は以上で解説した通りです。
次に収入別にフリーランスエンジニアの手取り目安を見ていきましょう。

フリーランスエンジニアの手取り目安

それでは、収入別にフリーランスエンジニアの手取りを見ていきましょう。
お住まいの地域や経費は人それぞれ違うので、以下を前提として計算をしています。

  • 経費:収入の3割
  • 住まい:東京都渋谷区
  • 年齢:32歳
  • 未婚、扶養家族なし
  • 青色申告

月収45万円/年収540万円の手取り目安

内訳計算方法金額/年金額/月換算
収入5,400,000円450,000円
支出合計2,456,148円204,679円
– 国民健康保険料((5,400,000円 – 1,620,000円 – 480,000円 – 650,000円) – 430,000円)× 0.0944209,568円17,464円
– 国民年金保険料令和4年度の金額で計算:16,590円 × 12か月199,080円16,590円
– 住民税(5,400,000円 – 1,620,000円 – 480,000円 – 650,000円)×0.1 – 3,500円 – 1,500円
※計算しやすいように、調整控除、税額控除、配当税額・株式等譲渡所得割額は0円としています。
260,000円21,667円
– 所得税(5,400,000円 – 1,620,000円 – 480,000円 – 650,000円)×0.1 – 97,500円167,500円13,958円
– 個人事業税エンジニアは個人事業税の対象外0円0円
– 消費税課税売上が1,000万円未満のため免税事業者0円0円
– その他生命保険など0円0円
– 経費(売上の30%)5,400,000円 × 0.31,620,000円135,000円
※基礎控除480,000円40,000円
※青色申告特別控除650,000円54,167円
手取り2,943,852円245,321円

月収60万円/年収720万円の手取り目安

内訳計算方法金額/年金額/月換算
収入7,200,000円600,000円
支出合計3,428,092円285,674円
– 国民健康保険料((7,200,000円 – 2,160,000円 – 480,000円 – 650,000円) – 430,000円)× 0.0944328,512円27,376円
– 国民年金保険料令和4年度の金額で計算:16,590円 × 12か月199,080円16,590円
– 住民税(7,200,000円 – 2,160,000円 – 480,000円 – 650,000円)×0.1 – 3,500円 – 1,500円
※計算しやすいように、調整控除、税額控除、配当税額・株式等譲渡所得割額は0円としています。
386,000円32,167円
– 所得税(7,200,000円 – 2,160,000円 – 480,000円 – 650,000円)×0.2 – 427,500円354,500円29,542円
– 個人事業税エンジニアは個人事業税の対象外0円0円
– 消費税課税売上が1,000万円未満のため免税事業者0円0円
– その他生命保険など0円0円
– 経費(売上の30%)7,200,000円 × 0.32,160,000円180,000円
※基礎控除480,000円40,000円
※青色申告特別控除650,000円54,167円
手取り3,771,908円314,326円

月収70万円/年収840万円の手取り目安

内訳計算方法金額/年金額/月換算
収入8,400,000円700,000円
支出合計4,119,388円343,283円
– 国民健康保険料((8,400,000円 – 2,520,000円 – 480,000円 – 650,000円) – 430,000円)× 0.0944407,808円33,984円
– 国民年金保険料令和4年度の金額で計算:16,590円 × 12か月199,080円16,590円
– 住民税(8,400,000円 – 2,520,000円 – 480,000円 – 650,000円)×0.1 – 3,500円 – 1,500円
※計算しやすいように、調整控除、税額控除、配当税額・株式等譲渡所得割額は0円としています。
470,000円39,167円
– 所得税(8,400,000円 – 2,520,000円 – 480,000円 – 650,000円)×0.2 – 427,500円522,500円43,542円
– 個人事業税エンジニアは個人事業税の対象外0円0円
– 消費税課税売上が1,000万円未満のため免税事業者0円0円
– その他生命保険など0円0円
– 経費(売上の30%)8,400,000円 × 0.32,520,000円210,000円
※基礎控除480,000円40,000円
※青色申告特別控除650,000円54,167円
手取り4,280,612円356,717円

月収80万円/年収960万円の手取り目安

内訳計算方法金額/年金額/月換算
収入9,600,000円800,000円
支出合計4,810,684円400,891円
– 国民健康保険料((9,600,000円 – 2,880,000円 – 480,000円 – 650,000円) – 430,000円)× 0.0944487,104円40,592円
– 国民年金保険料令和4年度の金額で計算:16,590円 × 12か月199,080円16,590円
– 住民税(9,600,000円 – 2,880,000円 – 480,000円 – 650,000円)×0.1 – 3,500円 – 1,500円
※計算しやすいように、調整控除、税額控除、配当税額・株式等譲渡所得割額は0円としています。
554,000円46,167円
– 所得税(9,600,000円 – 2,880,000円 – 480,000円 – 650,000円)×0.2 – 427,500円690,500円57,542円
– 個人事業税エンジニアは個人事業税の対象外0円0円
– 消費税課税売上が1,000万円未満のため免税事業者0円0円
– その他生命保険など0円0円
– 経費(売上の30%)9,600,000円 × 0.32,880,000円240,000円
※基礎控除480,000円40,000円
※青色申告特別控除650,000円54,167円
手取り4,789,316円399,109円

月収90万円/年収1080万円の手取り目安

内訳計算方法金額/年金額/月換算
収入10,800,000円900,000円
支出合計6,581,980円548,498円
– 国民健康保険料((10,800,000円 – 3,240,000円 – 480,000円 – 650,000円) – 430,000円)× 0.0944566,400円47,200円
– 国民年金保険料令和4年度の金額で計算:16,590円 × 12か月199,080円16,590円
– 住民税(10,800,000円 – 3,240,000円 – 480,000円 – 650,000円)×0.1 – 3,500円 – 1,500円
※計算しやすいように、調整控除、税額控除、配当税額・株式等譲渡所得割額は0円としています。
638,000円53,167円
– 所得税(10,800,000円 – 3,240,000円 – 480,000円 – 650,000円)×0.2 – 427,500円858,500円71,542円
– 個人事業税エンジニアは個人事業税の対象外0円0円
– 消費税10,800,000円 × 0.101,080,000円90,000円
– その他生命保険など0円0円
– 経費(売上の30%)10,800,000円 × 0.33,240,000円270,000円
※基礎控除480,000円40,000円
※青色申告特別控除650,000円54,167円
手取り4,218,020円351,502円

月収100万円/年収1200万円の手取り目安

内訳計算方法金額/年金額/月換算
収入12,000,000円1,000,000円
支出合計7,402,876円616,906円
– 国民健康保険料((12,000,000円 – 3,600,000円 – 480,000円 – 650,000円) – 430,000円)× 0.0944645,696円53,808円
– 国民年金保険料令和4年度の金額で計算:16,590円 × 12か月199,080円16,590円
– 住民税(12,000,000円 – 3,600,000円 – 480,000円 – 650,000円)×0.1 – 3,500円 – 1,500円
※計算しやすいように、調整控除、税額控除、配当税額・株式等譲渡所得割額は0円としています。
722,000円60,167円
– 所得税(12,000,000円 – 3,600,000円 – 480,000円 – 650,000円)×0.23 – 636,000円1,036,100円86,342円
– 個人事業税エンジニアは個人事業税の対象外0円0円
– 消費税12,000,000円 × 0.11,200,000円100,000円
– その他生命保険など0円0円
– 経費(売上の30%)12,000,000円 × 0.33,600,000円300,000円
※基礎控除480,000円40,000円
※青色申告特別控除650,000円54,167円
手取り4,597,124円383,094円

収入別で手取りを見ると、利益率が低いと感じてしまう方もいるかもしれません。
それもそのはずで、最小限の要素しか含めていないためです。

それでは手取りを増やすためにはどうすれば良いでしょうか?
最後にフリーランスエンジニアが手取りを増やす方法を見ていきましょう。

フリーランスエンジニアが手取りを増やす方法

フリーランスエンジニアが手取りを増やす方法として、3つ紹介します。

収入を増やす

まず、簡単な話として収入を増やすことです。

基本的に、年収1千万円までは収入を増やせば手取りも増えます。
しかし、年収1千万円を超えると消費税が免税されなくなるため、1千万円いかない方が手取りが増える場合があります。

上記で紹介した手取りの目安であったように、年収960万円と年収1,080万円の手取りは以下の通りです。

  • 年収960万円→手取り4,789,316円
  • 年収1,080万円→手取り4,218,020

年収が少ない960万円の方が手取りが多いことがわかるかと思います。

なので、ぎりぎり1千万円を超えるくらいの年収になるくらいなら、1千万円を超えないように調整することも大事です。

各種控除を活用する

既に触れている通り、各種控除を活用することで節税に繋がります。
控除の種類として、以下のようなものがあります。

  • 青色申告特別控除
  • 医療費控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 一般生命保険料控除
  • 介護医療保険料控除
  • 地震保険控除

控除を使うのと使わないのでは、手取りが大きく変わるので、適切な控除を活用すると良いでしょう。

積極的に経費を計上する

最後に、積極的に経費を計上することです。

法に触れないようにすることは大前提ですが、仕事にまつわるものは経費にできます。
例を挙げると、以下のようなものです。

  • パソコン
  • プリンター
  • モニター
  • スーツ/革靴
  • スマホ
  • 在宅ワークの場合(住居兼事務所の場合は適正値で案分する必要あり):
    • 家賃
    • 光熱費
    • インターネット回線

各種控除も経費も、人それぞれで適したもの・適さないものがあります。

なので、うまく節税して手取りを増やしたい方は、一度税理士の方へ相談するのがオススメです。

フィクト
僕は税理士にお願いせずに長らく自分でやっていたのですが、税理士にお願いしてからだいぶ節税できるようになりました。
数十万~数百万損したと言っても良いので、早めに税理士へ相談した方が良いと思っています。

まとめ

今回は、フリーランスエンジニアの手取りについて解説してきました。

計算方法や手取りの目安含め詳しく解説をしたので、少しイメージついたのではないでしょうか?
改めて、収入に応じた手取りをお見せすると、以下の通りです。

年収(月収)手取り/年(手取り/月)
540万円(45万円)2,943,852円(245,321円)
720万円(60万円)3,771,908円(314,326円)
840万円(70万円)4,280,612円(356,717円)
960万円(80万円)4,789,316円(399,109円)
1080万円(90万円)4,218,020円(351,502円)
1200万円(100万円)4,597,124円(383,094円)

フリーランスで手取りを増やしたいなら、賢く節税しつつ売上を増やしていきましょう。

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